NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ」は、2023年10月12日(940火星日)、62回目の飛行を行いました。映像は、そのときにインジェニュイティから撮影された画像をもとに作成したタイムラプス映像です。火星表面にヘリコプターの影が落ちており、着陸後も回転翼が動いているのがわかります。
62回目の飛行では、最高速度は秒速10mで飛行距離は268m、最高高度18mで121.1秒間飛行しました。離陸と着陸の場所は同じで、「Airfield Tau」と呼ばれる場所で離着陸しました。
最高速度の秒速10mは、インジェニュイティのこれまでの飛行の中で最も速い記録です。時速に換算すると36kmですから、街中を走る自動車程度の速度が出たことになります。ちなみにインジェニュイティのこれまでの最高速度記録は、60回目の飛行時(2023年9月25日)の秒速8mでした。
冒頭のタイムラプス映像は、インジェニュイティの胴体部分に取り付けられているナビゲーションカメラで撮影された画像を元に編集部で作成しました。ナビゲーションカメラのデータは、飛行中にリアルタイムで位置や姿勢を決定するために使われており、飛行中に火星表面を追跡するため真下を向いています。
インジェニュイティは、パーサヴィアランスに連れられて火星に降り立ちました。2021年4月に初飛行に成功。当初は5回以内の試験飛行が予定されていましたが、想定をはるかにこえ、また記録を塗り替えながら稼働しています。
こちらはインジェニュイティに搭載されているカラーカメラで撮影された画像です。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
映像制作: Noriaki Okamoto