火星の大峡谷を構成する2つの谷をマーズ・エクスプレスがとらえた

この画像は、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査機マーズ・エクスプレスが、火星の大峡谷であるマリネリス峡谷の一部をとらえたものです。マリネリス峡谷を構成する2つの谷(カズマ)が左右に映っています。

マリネリス峡谷は、火星のグランドキャニオン、と表現されることもありますが、その規模は全く異なります。マリネリス峡谷は長さ4000km、幅200km、深さ7kmに及び、グランドキャニオンと比べると長さはほぼ10倍、幅は20倍、深さは5倍にもなります。

またでき方もグランドキャニオンとは異なります。グランドキャニオンはコロラド川の侵食によって形成されたのに対し、マリネリス峡谷はかつての地殻変動によって形成されたと考えられています。

画像に映る左(南)の谷は長さ840kmの「イウス谷(Ius Chasma)」、右(北)は長さ850kmの「チトニウム谷(Tithonium Chasma)」です。

チトニウム谷の上側には暗い砂の領域がみられます。この砂は、マリネリス峡谷の西にあるタルシス高地からやってきた可能性があります。その暗い領域の右(北)には、盛り上がった山が2つあります(1つは画像上端で切れています)。

画像の一部の地域を立体的に再現

これらの画像は、冒頭の画像に映る地域の一部を斜めから見たものです。マーズ・エクスプレスが取得したデジタル標高モデルと色のデータを組み合わせて作られた画像で、地形が立体的に見えています。1枚目は暗い砂の領域を斜めから見たもの、2枚目は暗い領域の北にある山の1つを斜めから見たものです。

山の高さは3000m以上あります。表面は風によって侵食されており、周囲の岩より柔らかい物質でできていることを示しています。2つの山の間の地域にあたる画像左側には、小さな隆起がいくつも見られます。マーズ・エクスプレスの観測から、この地域では含水硫酸塩鉱物が見つかりました。このことは、かつて谷を満たしていた水が蒸発したときに小さな隆起が形成された可能性を示唆しています。ただこれについては議論が続いています。

画像右上には、地すべりの跡が映っています。谷の壁が崩れて地すべりが発生したもので、侵食が進んでいないことから、比較的最近になって発生したものだとみられます。

Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA