ハッブルがとらえた天空の瞳「NGC 1535」

この画像は、エリダヌス座の惑星状星雲NGC 1535をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたものです。NGC 1535は「クレオパトラの瞳」と呼ばれることもあります。この星雲は、よく知られたNGC 2392と同じように、内側の明るい部分と外側の領域とがある珍しい構造をしています。

惑星状星雲は、太陽程度の質量の星が死ぬときにできるものです。赤色巨星になったのち、星の外層を宇宙空間に放出して、やがて白色矮星になる中心部の星の「芯」が残されます。星の「芯」からの紫外線によって周囲に広がったガスが電離して輝くのです。昔の望遠鏡でみると惑星のように見えたため「惑星状星雲」と呼ばれましたが、実際には惑星とは全く関係ありません。

ハッブル宇宙望遠鏡は、近くに恒星がある100以上の惑星状星雲の研究の一環でNGC 1535を観測しました。星どうしが接近していることは、惑星状星雲の中心の星と近くの恒星とが重力的につながっている可能性があります。NGC 1535の中心星と伴星と見られる恒星の距離を観測したところ、NGC 1535は実際に重力的に結ばれた連星系の一部であることが示唆されました。

画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)から2021年11月3日にリリースされました。

Image credit: NASA, ESA, and H. Bond and R. Ciardullo (Pennsylvania State University), et. al.; Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)

(参照)NASA