1990年4月24日に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、2023年4月に打ち上げから33周年を迎えました。その33周年記念画像として、ハッブル宇宙望遠鏡が星形成領域NGC 1333をとらえた画像が公開されました。
NGC 1333はペルセウス分子雲の中にある星形成領域で、ペルセウス座の方向、地球から約960光年離れたところにあります。画像にはガスと塵が織りなすカラフルな光景が映し出されています。
画像上部では青い星が輝き、周囲の細かい塵粒子で青の波長の光が散乱して淡く光っています。その下の方では、明るい超高温の星が、まるで雲の向こうに見える太陽のように、塵の雲の向こうで輝いているのが映っています。斜めに連なる星々が赤く見えるのは、塵の雲を赤い光が通過しやすいためです。
画像下部の暗い部分は何もない空間ではなく、細かい塵によって厚く覆われた領域です。画像下端付近では、電離した水素ガスが赤く輝いています。これは画像の外にある、新たに生まれた星から噴出したジェットが原因です。
1990年4月24日、スペースシャトルに搭載されて打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、翌25日に地球周回軌道へ投入されました。現在までに約5万2000のターゲットを約160万回観測しています。
これまでに公開された周年記念画像
ハッブル宇宙望遠鏡は、これまでも4月に周年記念画像を公開してきました。この画像は昨年2022年に、打ち上げ32周年記念画像として公開されたものです。「HCG(ヒクソン・コンパクト銀河群)40」と呼ばれる銀河群が映っています。(参考記事)5つの銀河が密集するコンパクト銀河群HCG 40 〜 ハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ32周年記念画像
こちらは打ち上げ31周年記念として2021年に公開された画像で、「りゅうこつ座AG星」という巨大な星が映っています。(参考記事)自らが吹き飛ばしたガスと塵の星雲に囲まれた巨大星 〜 ハッブル打ち上げ31周年記念画像
こちらは2020年に公開された30周年記念画像で、大マゼラン銀河にある星形成領域NGC 2014とNGC 2020が映っています。(参考記事)ハッブル打ち上げ30周年記念画像が公開! 〜 大マゼラン銀河の星形成領域
29周年(2019年公開)より前の画像については、以下の記事をご覧ください。
ハッブル宇宙望遠鏡 過去の周年記念画像を紹介(3) 23周年記念(2013年)〜29周年記念(2019年)までの画像を紹介。
ハッブル宇宙望遠鏡 過去の周年記念画像を紹介(2) 16周年記念(2006年)〜22周年記念(2012年)までの画像を紹介。
ハッブル宇宙望遠鏡 過去の周年記念画像を紹介(1) 最初に周年記念画像がリリースされた6周年記念(1996年)から15周年記念(2005年)までの画像を紹介。
ハッブル宇宙望遠鏡はもともと1983年に打ち上げられる予定でしたが、開発の遅れやスペースシャトルの事故などの影響で、1990年4月24日になってようやく打ち上げられました。1993年から2009年まで、スペースシャトルによる保守ミッションが5回実施され、観測装置や太陽電池パネルなどの交換などが行われました。最後の保守ミッションから10年以上が経過し、ときおり不具合が発生しながらも、ハッブル宇宙望遠鏡は現在でも第一線で活躍しています。
Main Image Credit: NASA, ESA, STScI
(参照)Hubblesite、ESA/Hubble