ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた小マゼラン銀河の星団NGC 602

この画像は、小マゼラン銀河にある若い星団NGC 602をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえたものです。画像はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中間赤外線装置)で撮影したデータを合成したものです。小マゼラン銀河は天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)で、地球から約20万光年離れたところにあります。

NGC 602付近では、水素やヘリウムと比べて重い元素の存在量が非常に少なく、初期宇宙の環境に似ています。濃い塵からなる暗い雲や、星団に電離ガスが豊富に存在していることは、星形成が進行中であることを示唆しています。NGC 602を観測することで、太陽系の近傍とは大きく異なる条件下での星形成シナリオを調べることができます。

今回、国際的な天文学者チームにより、ウェッブ望遠鏡を使ってNGC 602で若い褐色矮星の候補が検出されました。褐色矮星の候補が、天の川銀河以外で見つかったのは初めてです。

褐色矮星は、木星の13〜75倍ほどの質量をもつ星です。質量が小さいため中心部で水素の核融合反応が起きていません。「水素燃焼の限界以下の天体の質量分布が恒星の分布の延長線上にあるとする理論と非常によく一致しています」と、研究チームの一人、Peter Zeidler氏は語っています。

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ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたNGC 602

Image Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration
Image Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration

こちらは2017年に公開された、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC 602の画像です。ハッブル望遠鏡の画像については次の記事をご覧ください→「小マゼラン銀河の若い星団NGC 602に侵食され空洞になった星雲N90

(参考)「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」関連記事一覧

Main Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, P. Zeidler, E. Sabbi, A. Nota, M. Zamani (ESA/Webb)

(参照)ESA/Webb