5つの銀河が密集するコンパクト銀河群HCG 40 〜 ハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ32周年記念画像

1990年4月に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡。そのハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ32周年記念画像が公開されました。画像に映っているのは「HCG(ヒクソン・コンバクト銀河群)40」と呼ばれる銀河群です。

HCG 40は、うみへび座の方向、約3億光年の距離にあり、渦巻銀河が3つ、楕円銀河とレンズ状銀河が1つずつの合計5つの銀河からなります。それら5つの銀河が、天の川銀河の直径の2倍にも満たない領域に収まって存在し、たがいの重力で影響を与え合っています。

このようなコンパクト銀河群は巨大な銀河団の中心部で見られることがありますが、HCG 40は孤立して存在しているのが特徴的です。

HCG 40はなぜ孤立しているのか。1つの可能性としては、これらの銀河に大量のダークマター(暗黒物質)が存在していることが考えられます。ダークマターとは、電磁波では観測できないけれども重力は及ぼす正体不明の物質です。

それぞれの銀河が接近するとダークマターが巨大な雲を形成し、5つの銀河はそのダークマターの雲の中で動くことになります。ダークマターの重力の影響で銀河の動きが鈍り、衝突・合体へと向かうのです。10億年ほど後、5つの銀河は衝突・合体して巨大な楕円銀河になると見られています。

このようなコンパクト銀河群は過去数十年のサーベイ観測で100個以上がカタログ化されています。HCG 40は、それらの中でも最も密なコンパクト銀河群の1つです。

このような密な銀河群は宇宙初期に多く存在し、クエーサーの燃料を提供していたことが観測から示唆されています。HCG 40のようなコンパクト銀河群を研究することは、銀河がいつどこで、そして何から形成されたのかを知るために役立ちます。

ハッブル宇宙望遠鏡はもともと1983年に打ち上げられる予定でしたが、開発の遅れやスペースシャトルの事故などの影響で遅れ、1990年4月24日になってようやく打ち上げられました。1993年から2009年まで、スペースシャトルによる保守ミッションが5回実施され、観測装置や太陽電池パネルなどの交換などが行われました。最後の保守ミッションから10年以上が経過し、ときおり不具合が発生しながらも、ハッブル宇宙望遠鏡は現在でも第一線で活躍しています。

CREDITS: SCIENCE: NASA, ESA, STScI、IMAGE PROCESSING: Alyssa Pagan (STScI)

(参照)HubblesiteESA/Hubble