地球で標高が最も高いのはエベレストの山頂ですが、月面での最高地点は月の裏側にあります。この画像は、月面の標高の最高地点(赤い矢印の先)周辺を映したものです。矢印の先が最高地点で、月の平均半径から1万786メートル高いところにあります。画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターが撮影しました。
地球と月とでは最高地点にいくつか異なる点があります。エベレストは地質学的にみると比較的新しい地形です。かつて海底だった場所が、数千万年かけてプレートどうしの衝突によって押し上げられて形成されました。一方、月の最高地点は非常に古く、40億年以上前、南極-エイトケン盆地ができた際の膨大な噴出物が、わずか数分で積み重なって形成されたとみられます。
もう一つの違いは傾斜です。エベレスト山腹は非常に急ですが、月の最高地点周辺は非常になだらかです。これは地形が形成されたメカニズムの違いによります。
こちらは最高地点周辺のより広範囲をとらえた画像です。白い矢印の先が、冒頭の画像に映っている場所付近です。左に見えるクレーターはEngel'gardtクレーターです。
こちらは月の裏側の地形図で、標高によって色分けされています。中央右側、黒い矢印で示してあるのがEngel'gardtクレーターで、その右側の白いところに月の最高地点があります。画像下の方で青っぽく見えているところが南極-エイトケン盆地です。
(参考記事)標高で色分けした月の表と裏の地形マップ
(参照)NASA