二重小惑星を目指し打ち上げられた探査機Heraが地球と月を撮影

2024年10月7日に打ち上げられたESA(ヨーロッパ宇宙機関)の小惑星探査機Heraが、地球と月を撮影した画像を送ってきました。10月10日から11日にかけて、Heraが搭載する3つの機器を使い、100万km以上離れたところから地球と月の撮影が行われました。

Image Credit: ESA
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こちらはHeraの光学カメラAFC(Asteroid Framing Camera)で撮影された画像です。10月11日に約160万kmの距離から撮影されました。左下に地球、中央に月が映っています。地球は上が北で、太平洋が太陽光に照らされています。AFCは1020×1020ピクセルのモノクロ可視光カメラで、ナビゲーションと科学観測のために使われます。

Image Credit: ESA/JAXA
Image Credit: ESA/JAXA

こちらは熱赤外カメラTIRI(Thermal Infrared Imager)で撮影した画像です。中央に地球、右上に月が映っています。約140万kmの距離から撮影。地球は北が上になっており、アメリカ東海岸と大西洋付近が見えています。

TIRIはJAXA(宇宙航空研究開発機構)が提供したカメラで、小惑星探査機はやぶさ2の中間赤外カメラTIRの後継機器です。中間赤外域の波長で小惑星表面の温度分布を調べます。

Image Credit: ESA
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こちらは多色分光カメラHS-H(HyperScout H)でとらえたもの。左下に地球、右上に月が見えています。約160万kmの距離からとらえた擬似カラー画像です。地球は北が上で、太平洋が太陽光に照らされています。HS-Hは650〜950nmの波長範囲をカバーし、小惑星の鉱物組成などを調べるために使われます。

Heraは、ディディモスとディモルフォスの二重小惑星を目指しています。ディディモスは直径780mほどの小惑星で、ディモルフォスはそのまわりをまわる直径151mほどの小惑星です。

2022年9月、NASA(アメリカ航空宇宙局)のDART(ダート)探査機がディモルフォスに衝突して公転周期を約33分短縮することに成功しました。Heraは、その衝突現場の調査などを行います。

(参考)
ESAの小惑星探査機Hera、DARTの衝突現場を調査へ
探査機DART、小惑星への衝突成功!

(参照)ESAJAXA宇宙科学研究所