2024年10月15日、ユークリッド宇宙望遠鏡のデータから作成された宇宙地図の一部が初めて公開されました。2024年3月25日から4月8日までに実施された260の観測データを合わせたものです。満月の範囲の500倍以上に相当する、南天の132平方度の領域がカバーされています。
ユークリッド望遠鏡は、最終的に全天の3分の1の領域を観測します。100億光年の距離までの銀河の形状や位置、距離を測定し、これまでで最大かつ最も正確な宇宙の3次元マップを作成することになっています。今回公開されたマップは6年間で実施するサーベイの1%の領域ですが、天の川銀河の星々や、ほかの銀河など約1億の天体が映し出されています。
画像で青っぽくもやもやとして見えているのは、天の川銀河の銀河円盤から離れたところにある星間雲です。地球の空に浮かぶ巻雲のようにも見えることから「シラス(銀河巻雲)」とも呼ばれます。
冒頭の画像の一部を拡大してみてみましょう
この画像には、冒頭の画像に映る一部の領域が見えています。冒頭の画像と比べて3倍に拡大されています。可視光カメラと赤外線カメラでとらえた画像で、赤く見える星は比較的低温、白い星や青い星は比較的高温の星です。この画像の右の方の一部の領域を拡大したのが次の画像です。
こちらは冒頭の画像と比べると12倍に拡大されています。画像左側の中央付近には2500万光年の距離にある渦巻銀河NGC 2188が真横を向けて映っています。画像右上側には、6億7800万光年の距離にある銀河団Abell 3381が見えています。
こちらはさらに拡大したもの。冒頭の画像と比べると36倍になっています。銀河団Abell 3381の中心部が見えています。巨大な楕円銀河やそれほど大きくない渦巻銀河、小さくて暗い矮小銀河など、さまざまな形とサイズの銀河が映っています。
冒頭の画像から150倍に拡大したもの。4億2000万光年の距離にある相互作用する2つの銀河(ESO 364-G035とG036)が、中央やや左に大きく映っています。
上の画像に映る相互作用銀河のうちの1つ、渦巻銀河ESO 364-G036のクローズアップ。冒頭の画像と比べると600倍に拡大されています。
ユークリッド宇宙望遠鏡のミッションについては、次の記事をご覧ください。→ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す
Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, CEA Paris-Saclay, image processing by J.-C. Cuillandre, E. Bertin, G. Anselmi
(参照)ESA