ハッブルがとらえた、ほぼ真横を向いた渦巻銀河NGC 5775 | アストロピクス

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ハッブルがとらえた、ほぼ真横を向いた渦巻銀河NGC 5775

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河NGC 5775。おとめ座の方向、約8500万光年の距離にあります。地球からの視点では、銀河円盤が真横に近い角度から見えています。このような角度で見える銀河を「エッジオン(edge-on)銀河」と呼びます。

そのような見え方は、天文学者にとって有利にはたらくことがあります。銀河円盤の上下部分の様子をはっきりと見ることができるからです。たとえば以前、この渦巻銀河の円盤の傾きを利用して、X線で観測したときに見られる高温ガスのハローの性質が調べられました。高温ガスのハローの成因はよくわかっていませんが、NGC 5775のように星形成率の高い渦巻銀河の周りで見られます。銀河円盤から超新星爆発によってハローへと高温ガスが流出し、それが冷えて円盤に戻ってくるという、銀河規模の噴水のような現象が起きていると考えている天文学者もいます。

またNGC 5775は、近くにある渦巻銀河NGC 5774との合体の初期段階にあります。ただこれらの銀河のペアには、アンテナ銀河のような強い相互作用が見られる銀河に見られるような「潮汐の尾」はまだ見られません。

画像は2011年5月9日にリリースされたハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」です。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA

(参照)ESA/Hubble