逆行衝撃波が中心まで達している超新星残骸「G344.7-0.1」

この画像は超新星残骸「G344.7-0.1」をとらえたものです。G344.7-0.1は、さそり座の方向、約1万9600光年の距離にあります。チャンドラX線望遠鏡によるX線(青)、スピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線(黄と緑)、2つの望遠鏡による電波(赤)の画像を合成したものです。

G344.7-0.1は、白色矮星に伴星のガスが降り積もり、質量が限界を超えたときに爆発する「Ia型超新星」の残骸です。爆発から3000〜6000年ほどが経過していると推定されています。これまでに観測され比較的よく知られているIa型の超新星残骸は、爆発から1000年以内のものがほとんどでした。そのためG344.7-0.1の研究は、Ia型超新星爆発が発生してから時間が経過した段階を知ることにつながるとのことです。

超新星爆発によって爆風と恒星の破片が周囲へ広がっていき、その際にX線が生じます。星の破片は外側へ移動すると周囲のガスの抵抗によって減速し、爆発の中心へ向かって戻っていく逆光衝撃波を生成します。逆光衝撃波は星の破片を数百万度に加熱し、X線で輝くようになります。

ケプラー、ティコ、SN1006といったIa型超新星残骸は逆光衝撃波の期間が短いため、残骸の中心部にあるすべての破片が加熱されているわけではありません。しかしG344.7-0.1では爆発から時間が経過しているため、逆光衝撃波が中心部にまで到達しています。

こちらはチャンドラX線望遠鏡で得られた複数の波長のX線画像を合成したものです。鉄の密度が高い領域が、円弧状の構造に囲まれています。チャンドラのデータからは、鉄の密度の高い領域は、円弧状の部分よりも最近になって逆行衝撃波によって加熱されたことが示唆されており、この領域は超新星爆発の中心に近いところにあると見られています。これらの結果は、爆発する白色矮星の内部でより重い元素が生成されるという、Ia型超新星爆発のモデルの予測を支持するものです。

またチャンドラのこの画像では、鉄の密度が高い領域が、残骸の見た目の中心部より右側にずれています。これは残骸を取り巻くガスの密度が、左側より右側のほうが高いことに起因する可能性があります。

Image Credit: X-ray: NASA/CXC/Tokyo Univ. of Science/K. Fukushima, et al.; IR: NASA/JPL/Spitzer; Radio: CSIRO/ATNF/ATCA

(参照)Chandra X-ray Observatory