天の川銀河の隣人「バーナード銀河」をユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

天の川銀河の隣人「バーナード銀河」をユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた

2023年7月1日に打ち上げられた、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のユークリッド宇宙望遠鏡の最初のカラー画像が11月7日に公開されました。画像はそのうちの1点で、「バーナード銀河」と呼ばれる不規則矮小銀河NGC 6822が映っています。

バーナード銀河は、いて座の方向、約160万光年の距離にあります。天の川銀河やアンドロメダ銀河などとともに「局部銀河群」と呼ばれる銀河群を構成する銀河の一つです。バーナード銀河は以前からよく観測されており、最近もジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した画像が公開されました。

参考記事:「天の川銀河の隣人、不規則銀河NGC 6822の星々と塵 ウェッブ望遠鏡が観測」「地球から150万光年、不規則銀河NGC 6822の塵に隠された星々をウェッブ望遠鏡がとらえた

ユークリッド望遠鏡は、バーナード銀河全体やその周辺の高解像度画像を、1時間足らずで撮影しました。これは他の望遠鏡ではできません。ウェッブ望遠鏡は高解像度の撮影は可能ですが、銀河全体をカバーしようとすると多くの時間が必要になります。

ところどころに映っている紫色の泡のような領域は星形成領域です。こちらの画像は、そのような領域の一つのクローズアップです。クローズアップ画像を見ると、非常に精細にとらえられているのがわかります。

バーナード銀河には、水素やヘリウムより重い元素があまり存在していません。そのような環境は、初期宇宙に似ています。バーナード銀河のような重い元素が少ない銀河を研究することは、銀河が初期の宇宙でどのように進化したのかを知ることにつながります。

またこの画像からは多数の球状星団が見つかっています。球状星団は宇宙で最も古い天体の一つで、親銀河の初期の星形成の「化石記録」を残していると見られています。

11月7日に公開されたユークリッド望遠鏡の最初のカラー画像については、以下の記事もご覧ください。

スポンサーリンク

2024年の早い時期から本格観測をスタート予定

7月に打ち上げられたユークリッド望遠鏡では現在、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)で本格的な科学観測に向けた最終調整が行われています。2024年の早い時期から本格観測を開始する予定です。

L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。ユークリッド望遠鏡は、L2を周回する軌道から、全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成します。

(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す

Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA