2023年7月1日に打ち上げられた、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のユークリッド宇宙望遠鏡の最初のカラー画像が11月7日に公開されました。画像はそのうちの1点で、ペルセウス座銀河団が映っています。
画像にはペルセウス座銀河団に属する約1000の銀河と、さらに背景には10万をこえる数の銀河が映っています。各銀河には、最大数千億の星が含まれています。
ペルセウス座銀河団は、知られている中で宇宙で最大の構造の一つです。地球から約2億4000万光年の距離にあり、膨大な高温ガス雲の中に多くの銀河が含まれています。
このような銀河団は、宇宙にダークマター(暗黒物質)が存在するからこそ形成されます。ダークマターは重力により、コズミック・ウェブ(宇宙網)という網状の構造を形成します。ダークマターのフィラメントが交差するところに銀河が集まり銀河団が形成されます。
画像に映るペルセウス座銀河団の奥にある10万以上の銀河のうち、5万以上の銀河は弱い重力レンズ効果によりわずかに歪んでいるとみられます。弱い重力レンズでは歪みはわずかのため、多くの銀河を観測して統計的な手法で分析することになります。この画像に限らず、ユークリッド望遠鏡は弱い重力レンズを利用して、宇宙に存在するダークマターの3次元的な分布を調べます。
これらの画像は、冒頭の画像の一部を切り抜いたものです。ペルセウス座銀河団の銀河が鮮明に映っているとともに、遠方の銀河が多数映し出されているのがわかります。
11月7日に公開されたユークリッド望遠鏡の最初のカラー画像については、以下の記事もご覧ください。
2024年の早い時期から本格観測をスタート予定
7月に打ち上げられたユークリッド望遠鏡では現在、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)で本格的な科学観測に向けた最終調整が行われています。2024年の早い時期から本格観測を開始する予定です。
L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。ユークリッド望遠鏡は、L2を周回する軌道から、全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成します。
(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す
Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA