ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた「馬頭星雲」周辺 | アストロピクス

ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた「馬頭星雲」周辺

2023年7月1日に打ち上げられた、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のユークリッド宇宙望遠鏡の最初のカラー画像が11月7日に公開されました。画像はそのうちの1点で、オリオン座にある「馬頭星雲」と呼ばれる暗黒星雲の周辺が映っています。

約1375光年離れたところにある馬頭星雲は、地球に最も近い巨大な星形成領域です。オリオン座の三つ星の一つであるアルニタク(オリオン座ゼータ星)の南に位置しており、広大なオリオン座分子雲の一部です。画面上の視野の外にある、オリオン座シグマ星からの紫外線により背景にある雲が輝き、馬頭星雲がその光を遮って暗く見えています。

ユークリッド望遠鏡は全天の3分の1の領域をサーベイ観測し、ダークマターとダークエネルギーの謎にせまろうという宇宙望遠鏡です。視野が広く、広範囲を一度に撮影することができます。馬頭星雲周辺をとらえたこの画像は、広範囲を詳細に画像化できるユークリッド望遠鏡の能力を示したものです。

こちらは馬頭星雲のクローズアップです。細部まで詳細に映し出されていることがわかります。

11月7日に公開されたユークリッド望遠鏡の最初のカラー画像については、以下の記事もご覧ください。

スポンサーリンク

2024年の早い時期から本格観測をスタート予定

7月に打ち上げられたユークリッド望遠鏡では現在、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)で本格的な科学観測に向けた最終調整が行われています。2024年の早い時期から本格観測を開始する予定です。

L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。ユークリッド望遠鏡は、L2を周回する軌道から、全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成します。

(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す

Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA