今年7月1日に打ち上げられたESA(ヨーロッパ宇宙機関)のユークリッド宇宙望遠鏡が、観測を行う場所である太陽-地球系の第2ラグランジュ点(L2)へ7月28日に到着しました。
L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。打ち上げ後、ユークリッド望遠鏡は約4週間かけてL2点へ移動していました。
L2にはユークリッド望遠鏡より先に、位置天文衛星ガイアやジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測を行ってきました。このアニメーションは、L2点をまわるユークリッド望遠鏡(緑)、ウェッブ望遠鏡(青)、ガイア(黄)の軌道を示したものです。ただしそれぞれの機体の位置は現在のものを示しているわけではありません。
深宇宙の観測を行う際、太陽や地球、月は邪魔になります。L2では、太陽と地球、月をつねに背後に置いたまま深宇宙の観測を行うことができます。また、通信用のアンテナを常に地球に向けておくことも可能です。
ユークリッド望遠鏡の軌道は、L2の中心に最も近いところで約40万km、最も遠いところで最大80万kmまで変化します。ユークリッド望遠鏡がL2のまわりを1周する間、月は地球のまわりを6周します。なおガイア衛星の軌道は「リサージュ軌道」と呼ばれるもので、L2の中心から最大約35万km離れます。
ユークリッド望遠鏡は全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離を測定し、宇宙の3Dマップを作成します。それによりダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)の謎に迫ることを目的としています。
ユークリッド望遠鏡の観測対象や目的など、詳細は以下の記事をご覧ください。
ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す
Image Credit: ESA. Acknowledgement: Work performed by ATG under contract for ESA., CC BY-SA 3.0 IGO
Video credit: ESA/Gaia/DPAC; CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA