NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ローバー(探査車)パーサヴィアランス(Perseverance)が、2021年2月18日午後3時55分(アメリカ東部標準時。日本時間19日午前5時55分。以降の時刻は日本時間で示します)にいよいよ火星に着陸する予定です。冒頭のイラストは、パーサヴィアランスを搭載したカプセルが火星の大気圏を降下しているようすです。
パーサヴィアランスは、火星のジェゼロ・クレーターに着陸します。ジェゼロ・クレーターは、かつて水をたたえた湖だった場所で、クレーターに流入する川によってデルタ地帯が形成されました。パーサヴィアランスは、そのデルタ地帯付近に着陸します。
この動画は、パーサヴィアランスの着陸のようすを再現したものです。
以下、着陸のようすを簡単に紹介しましょう。なお書いてある時刻は、地球で信号を受け取る時刻です。火星からの信号が地球に届くのに時間がかかるため、それぞれのイベントは、火星ではここに示している時刻よりも11分22秒前に起きています。
午前5時38分、パーサヴィアランスを地球から火星へ運ぶために使われたクルーズ・ステージを分離、5時48分には時速約1万9500kmで火星の大気圏に突入します。大気圏に突入したカプセルの下部は、空力加熱により5時49分には1300℃まで温度が上昇します。
5時52分ごろにはパラシュートを展開する予定です。パラシュート展開の約20秒後、カプセルの底部を分離します。5時54分にはカプセルの後部が、ジェットパック(降下ステージ)とローバーから分離されます。ジェットパックは逆推進ロケットを使って減速しつつ着陸地点へ向かいます。最後にナイロン製のロープで吊り下げながらローバーを火星表面に着陸させます。
なお火星への着陸時、パーサヴィアランスでは「地形照合航法(Terrain Relative Navigation)」という新しい技術が使われます。これは大気中を降下しているときに火星表面を撮影し、それを機体に保存してある地図と照らし合わせ、必要に応じて進路を変更する技術です。
※Perseveranceは媒体によって「パーセベランス」「パーシビアランス」「パーセヴェランス」などと表記されています。
Credits: NASA/JPL-Caltech
(参照)NASA