ハッブル、スピッツァー、チャンドラの画像をもとに、超新星残骸「かに星雲」の立体構造が可視化された

2020年1月5日にリリースされた「かに星雲」の最新画像です。チャンドラX線望遠鏡がとらえたX線(青)、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた可視光(黄)、スピッツァー宇宙望遠鏡がとらえた赤外線(赤)の画像を合成したもの。

かに星雲は、おうし座の方向、6500光年の距離にあります。1054年に観測された超新星爆発の残骸です。当時の超新星は日本や中国などでも記録が残っており、日本では藤原定家の『明月記』に書かれています(ただし1054年には藤原定家はまだ生まれていません)。

X線では超新星爆発の後に残された中性子星が映し出されています。かに星雲の中心にある中性子星は毎秒30回転するパルサーで、そのまわりを円盤が取り囲み、円盤と垂直方向にジェットが噴き出しています。

パルサーの強い磁場のまわりでは、荷電粒子が渦巻いています。赤外線画像は、その荷電粒子からのシンクロトロン放射を示しています。可視光では、高エネルギー(X線、紫外線)シンクロトロン放射によって熱せられた酸素からの放射が映し出されています。

Image Credit: NASA, ESA, J. DePasquale (STScI), and R. Hurt (Caltech/IPAC)

https://hubblesite.org/contents/media/images/2020/03/4601-Image

冒頭の画像は、かに星雲を立体化して表示するこの映像とともにリリースされたものです。

映像は全体で3分43秒。おうし座で超新星が輝く場面から始まります。その後、超新星爆発の残骸である「かに星雲」へとズームイン。そしてハッブル宇宙望遠鏡の可視光画像、スピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線画像、チャンドラX線望遠鏡のX線画像の順に表示されます。

1分43秒あたりから、X線、赤外線、可視光のそれぞれのデータをもとに再現された3次元構造と、それが回転するようすが表示されます。最後にそれぞれの3次元構造を合体して回転する映像が表示され、映像は終了します。

映像は、宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)、カリフォルニア工科大学赤外線画像処理・解析センター(Caltech/IPAC)、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)の天文学者と可視化の専門家からなるチームによって作成されました。

Credit: NASA, ESA, F. Summers, J. Olmsted, L. Hustak, J. DePasquale, G. Bacon (STScI), N. Wolk (CfA), and R. Hurt (Caltech/IPAC)

https://hubblesite.org/contents/media/videos/2020/03/1271-Video


アストロピクスではTwitterやFacebookでも更新情報をお届けしています