明るい星雲IC 2944を背景に、小さくて高密度な塵の雲がシルエットのように見えています。このような塵の雲のことを「グロビュール(小球)」といいますが、画像に映るグロビュールは発見した天文学者にちなんで「サッカレーのグロビュール」と呼ばれています。画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影しました。
右上に見える大きなグロビュールは、2つの塵の雲が地球から見てたまたま重なって見えているものです。それぞれの雲は長径1.4光年ほどで、あわせて太陽の15倍以上の質量があります。
背景のIC 2944は、ケンタウルス座の方向、5900光年の距離にあるガスと塵からなる星形成領域で、O型星の星団に照らされて高温になっています。星団の星々は、太陽よりはるかに高温で大質量です。それらの大質量星からの紫外線によって、グロビュールは破壊されている途中のようです。グロビュールの見た目は穏やかそうですが、実は熱したフライパンの上に置いたバターの塊のようなものなのかもしれません。
なおサッカレーのグロビュールについては、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)で、より広範囲を撮影した画像を紹介したことがあります。興味のある方はあわせてご覧ください。
Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: Bo Reipurth (University of Hawaii)
(参照)Hubblesite