これらの画像は、地球から520光年の距離にある「ぎょしゃ座AB星」という若い恒星の周囲にあるガスと塵の渦巻く円盤をとらえたものです。ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)に設置されたSPHERE装置によってとらえられました。2枚目の画像は、1枚目の中央部をクローズアップしたものです。
右の画像の中央付近、白い円内の明るい部分がねじれたようになっており、そこでは現在、赤ちゃん惑星が形成されつつあるとみられています。右の画像右下の青い円は、太陽系での海王星の公転軌道の大きさを示しています(海王星は太陽から約45億kmの距離のところを公転)。この青い円と比べると、明るねじれの部分が、中央のぎょしゃ座AB星から海王星ほどの距離にあることが分かります。
アルマ望遠鏡による以前の観測から、円盤の内側の領域で2つの渦巻き状のガスの腕が見つかっていました。今回のSPHEREによる観測で、その渦巻き状の腕の存在が確認されたほか、惑星形成の現場とみられるねじれの部分が発見されたのです。このようなねじれた部分は、惑星形成のいくつかの理論モデルから予想されています。
明るいねじれの部分は、惑星の公転軌道の内側にある円盤からの渦巻き状の腕と、外側にある円盤からの渦巻き状の腕とが合流している場所に相当します。内と外から流れてきた円盤のガスと塵が、形成中の赤ちゃん惑星に降り注いで成長させているとみられます。
ESOでは現在、口径39mの光赤外線望遠鏡E-ELT(European Extremely Large Telescope)の建設を進めています。E-ELTにより、形成途中の惑星をより詳細に観測できると期待されています。
Image Credit: ESO/Boccaletti et al.