複数の「殻」をもつ楕円銀河NGC 3923 ダークエネルギーカメラが撮影 | アストロピクス

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複数の「殻」をもつ楕円銀河NGC 3923 ダークエネルギーカメラが撮影

この画像には、楕円銀河NGC 3923などいくつかの銀河が映っています。南米チリ、セロ・トロロ汎米天文台(CTIO)にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」で撮影された画像です。

冒頭の画像の左下側に映っているのがNGC 3923です。この楕円銀河には、タマネギのような層(殻)構造が見えています。NGC 3923は、うみへび座の方向、約7000万光年の距離にあります。直径は15万光年で、天の川銀河の1.5倍ほどあります。

NGC 3923に見られる殻構造は、かつて別の小さな渦巻銀河との合体の結果としてできたと見られます。NGC 3923は、これまで知られている殻をもつ銀河の中で最大の殻をもっているだけでなく、殻の数が最も多く、また最も外側の殻と内側の殻との半径の比も最大です。最大で42個の殻で構成されている可能性があるようです。

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その他の渦巻銀河や重力レンズ画像も

画像にはNGC 3923の他に、渦巻銀河LEDA 744285やESO 440-11、また銀河団PLCK G287.0+32.9も映っています。PLCK G287.0+32.9付近には、重力レンズ効果によって歪んだ遠方銀河の像も映っています。

この画像の中央に映っているのは渦巻銀河LEDA 744285。この銀河のように地球から見て銀河円盤が正面を向いている渦巻銀河は「フェイスオン銀河」と呼ばれます。

こちらは渦巻銀河ESO 440-11のクローズアップ。この銀河もフェイスオン銀河です。

こちらは銀河団PLCK G287.0+32.9のクローズアップです。白い楕円で囲んだ箇所に、重力レンズで歪んだ遠方銀河の像が見えています。

DECamは、5億7000万画素の広視野カメラです。DECamはもともと、正体不明のダークエネルギー(暗黒エネルギー)の解明に向けた「ダークエネルギーサーベイ」で使われていました。2013〜19年に行われたそのサーベイ計画ののち、DECamはさまざまな目的の科学観測に利用されています。

Credit:
DESI Legacy Imaging Surveys/LBNL/DOE & KPNO/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA
Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab), R. Colombari (NSF’s NOIRLab) & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)

(参照)NOIRLab