80億光年以上先の微弱な電波銀河を重力レンズで発見!

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河団MACSJ0717.5+3745の画像を背景に、カールジャンスキーVLA(超大型電波干渉計群)でとらえた電波画像を重ねたものです。赤色の構造は、おそらく銀河団内の衝撃波によって生じた「電波レリック」と呼ばれる淡い電波放射です。また画像の中には、これまでに発見された最も微弱な電波天体とみられる遠方銀河VLAHFF-J071736.66+374506.4が映っています。

この観測は、銀河団の重力レンズを利用して、より遠方にある天体を研究する「VLA Frontier Fields Legacy Survey」の一環として行われたものです。質量の大きな天体があると、その重力によって遠方の天体からの光が曲がったり、天体の像が拡大されたりします。そのように重力がレンズのように働く現象が「重力レンズ」です。

この画像の枠内に示したのが、遠方銀河VLAHFF-J071736.66+374506.4です。銀河団MACSJ0717.5+3745までの距離は50億光年以上あります。一方、枠内の銀河は80億光年以上の距離にあることがVLAのデータから明らかになりました。この銀河からの光や電波は、手前にある銀河団の重力レンズ効果によって曲げられています。また重力レンズによって6倍以上に拡大されているとのことです。

Image Credit: Heywood et al.; Sophia Dagnello, NRAO/AUI/NSF; STScI.

(参照)NRAO