小惑星ベンヌとリュウグウは、同じ天体の破片から直接できた!?

はやぶさ2が探査した小惑星リュウグウと、オシリス・レックスが探査中の小惑星ベンヌ(上の画像)。この2つの小惑星の形成に関する最新の研究が発表されました。

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ベンヌもリュウグウも最初からコマ型だった?

ベンヌとリュウグウはどちらも、より大きな母天体が他の天体と衝突して破壊されたときの破片が集まってできたと考えられています。

また、ベンヌとリュウグウは形が似ています。どちらも赤道部分が尾根のように隆起しており、「コマ(独楽)型」と呼ばれる、そろばんの珠のような形をしています。これは天体が作られた後で、太陽光の影響によって自転速度が速くなりコマ型になったのではないかと考えられていました。比較的最近になって、そのような形になったと考えられていたのです。

しかし最新の研究では、そうではない可能性が示唆されました。

ベンヌもリュウグウも、赤道上に大きなクレーターがあります。そのサイズから、ベンヌの大きなクレーターは古い時代にできたものだとみられています。またクレーターは尾根の上にあることから、クレーターができる前にコマ型になっていたはずです。

研究チームがコンピューター・シミュレーションで検討したところ、ベンヌやリュウグウは母天体の破片からできたときに直接コマ型になったか、あるいは小惑星帯で形成された後の早い時期にコマ型になったことが示唆されました。

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リュウグウとベンヌの水分の違いはなぜ?

リュウグウとベンヌの両方で、含水鉱物が見つかっています。ただし、リュウグウの表面はベンヌに比べて水分が少ないことが分かっています。これはリュウグウの物質がより多くの加熱を経験したことを示唆しています。

そのような違いはあるものの、2つの小惑星は同じ母天体からできた可能性があるようです。ベンヌとリュウグウが同じ母天体から同時に形成されたと考えても、表面の水分の違いは説明できるとして、研究チームでは2つの仮説を提唱しています。

仮説の1つは、母天体が破壊された際、ベンヌは母天体の表面に近い物質から、一方のリュウグウは母天体の中心に近い物質からできたとするものです。

あるいは、母天体が衝突によって破壊されたときに、加熱のされ方が異なっていたのかもしれません。その場合、リュウグウは衝突地点付近の高温の場所の物質が元となってできたもので、ベンヌは衝突地点から離れた場所にあった物質からできたものと考えられます。

この動画は、母天体が他の天体と衝突して破壊された後、重力によって破片が再集積していくようすを示したものです。粒子の色は衝突後の温度の変化を示しており、青は変化なし、赤は1000度の変化を示しています。credit: NASA/Goddard/University of Arizona/Laboratoire Lagrange

はやぶさ2は現在地球へ帰還中で、2020年12月にリュウグウから採取したサンプルを地球へ届ける予定です。オシリス・レックスは2020年10月20日にベンヌからサンプルを採取し、2023年9月に地球へサンプルを届ける予定になっています。

はやぶさ2とオシリス・レックスが持ち帰る、それぞれの小惑星のサンプルを分析することで、2つの小惑星の関係が明らかになることが期待されています。

Image Credit: NASA/Goddard/University of Arizona

https://www.asteroidmission.org/?latest-news=asteroids-bennu-and-ryugu-may-have-formed-directly-from-collision-in-space

https://www.asteroidmission.org/?attachment_id=23769

https://uanews.arizona.edu/story/asteroids-bennu-and-ryugu-may-have-formed-directly-collision-space