スペイン、アリカンテ大学/バルセロナ大学のToni Santana-Ros氏らの研究チームは、小惑星2020 XL5が、地球のトロヤ群小惑星であることを確認したとする研究を発表しました。
地球などの惑星と太陽との間で、重力のバランスが取れて安定する「ラグランジュ点」と呼ばれる場所があります。惑星の公転軌道上で、惑星の進行方向の前後60度離れたところにもラグランジュ点はあり、前方が「第4ラグランジュ点(L4)」、後方が「第5ラグランジュ点(L5)」と呼ばれます。L4やL5にあるのがトロヤ群小惑星です。
トロヤ群小惑星は、木星では多数見つかっており、2021年にはNASA(アメリカ航空宇宙局)が木星のトロヤ群小惑星に向けて探査機「ルーシー」を打ち上げました。一方、地球ではこれまでトロヤ群小惑星は1つ(2010 TK7)しか見つかっていませんでした。
研究チームはアメリカのローウェル天文台にあるディスカバリーチャンネル望遠鏡や、南米チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるSOAR望遠鏡などを使い、2020 XL5の観測を行いました。その結果、2020 XL5がL4にあるトロヤ群小惑星であることを確認、直径1km程度であり、2010 TK7(0.3km)の3倍ほどの大きさであることを明らかにしました。また2020 XL5はC型小惑星であるとみられています。
ただ2020 XL5は、ずっとL4にとどまっているわけではないようです。研究チームでは、今後4000年間はL4にとどまるが、いずれ宇宙空間へ脱出していくだろうとみています。