宇宙で起きる大爆発といえば、超新星爆発やガンマ線バーストなどがあります。2018年6月、それらとは異なる大爆発が、2億光年彼方の銀河で発生したのがとらえられました。
「AT2018cow」と名付けられたこの天体は、超新星爆発と比べて初期の明るさが異常に明るく、急速に暗くなるなどの特徴がありました。また非常に高温のため標準的な超新星よりも青く見えます。
一方で、2016年に約5億光年の距離にある銀河で発生した「CSS161010(CRTS CSS161010 J045834-081803の略)」と、2018年に34億光年の距離にある銀河で発生した「ZTF18abvkwla」という2つの天体もまた、異常な特徴を示しており、観測・分析が進められていました。
観測によって、どちらの天体もAT2018cowと共通の特徴を持っていることが分かりました。「Fast Blue Optical Transients(FBOTs、高速青色可視突発天体)」と呼ばれるこれらの現象は、他の爆発現象とは大きく異なるタイプの爆発現象だと結論づけられました。
FBOTsは、重力崩壊型超新星爆発やガンマ線バーストと同じように始まるようです。FBOTsの場合、おそらく爆発する直前に恒星から放出された物質に厚く包まれています。
星の近くの厚い物質に爆風が衝突すると、爆発直後に明るい可視光バーストが発生します。また爆風が外側に進んで物質に衝突すると非常に明るい電波を放射します。
3つのFBOTsが発生した銀河が、矮小銀河であることも観測から判明しました。たとえば金属量が少ないなどといった矮小銀河の性質が、FBOTsの発生に関係しているのかもしれません。
FBOTsの原因としては、ブラックホールに破壊された星に由来する可能性も考えられるようです。矮小銀河には中間質量ブラックホールが存在すると考えられており、FBOTsの原因がブラックホールだとすると、中間質量ブラックホールを探す上でFBOTsが目印になる可能性があります。