「衝効果」で土星のリングに現れた光の点 | アストロピクス

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「衝効果」で土星のリングに現れた光の点

この画像はカッシーニ探査機がとらえた土星のリングです。2007年6月12日に撮影されました。画像中央、土星のリングの一部が明るく光っているのが映っています。これは「衝効果」と呼ばれる現象です。

観測者からみて、太陽と天体が正反対の位置にあるときのことを「衝」といいます。このとき、太陽光は観測者の真後ろから天体に当たります。衝のときに天体が急に明るく現象が衝効果です。衝効果は身近なところでは月でみられます。満月は半月に比べて明るい部分の見かけの面積は2倍ですが、明るさを比べると4倍以上にもなるのです。

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衝効果はどうして現れる?

衝効果が現れる一つの原因は、影が見えなくなることです。土星のリングは多数の氷粒子からできています。光が斜めから当たると、横方向に影が落ちます。しかし観測者の真後ろから光が当たると、影が粒子の背後に落ちることになり観測者から見えなくなります。影が見えない分、明るく見えるというわけです。

もう一つは干渉性後方散乱と呼ばれる現象で、太陽光がリング粒子に当たって散乱して探査機の方へ戻ってくるときに、光の波の位相がそろって強めあい明るく見えるというものです。冒頭の画像に見られる明るい点はこちらの要因が主だと考えられています。

なお、冒頭の画像の光の点が虹色のように見えるのは、カッシーニ探査機が赤、緑、青の分光フィルターを使って撮影した3枚の画像を色合成しているためです。探査機は動いているため、各画像を撮影する間に探査機から見て光の点は動きます。そのため赤、緑、青が少しずつズレて見えているのです。

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

(参照)Planetary Photojournal