形成後に氷が昇華し、お椀型でなくなった火星のクレーター

これらの画像は、火星のアラビア大陸北部にあるクレーター群をとらえたものです。NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが撮影しました。

これらのクレーターは、形成当初はお椀のような形をしていましたが、数百万年にわたり氷が昇華することでクレーターが拡大し、現在のような形になりました。このようなクレーターは「Expanded Crater」と呼ばれます。

大きな隕石衝突で飛び出した破片によって小さなクレーターの群れができることがあります。そのような小さなクレーター群のことを「二次クレーター 」と呼びます。画像に映るクレーターは二次クレーターです。一次クレーターの衝突年代が判明していることから、このような二次クレーターを研究することで氷の年代を推定できます。

マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページでは、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。画像は2018年9月20日に撮影されたもので、2020年12月11日のHiPODとして紹介された画像です。

ところで内容とは関係ありませんが、この画像、凹凸が反転してクレーターが盛り上がって見える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

Image Credit: NASA/JPL/UArizona

(参照)HiRISE