小惑星探査機オシリス・レックス、ベンヌでのサンプル採取へ | アストロピクス

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小惑星探査機オシリス・レックス、ベンヌでのサンプル採取へ

NASA(アメリカ航空宇宙局)の小惑星探査機オシリス・レックスは2020年10月21日午前7時12分(日本時間)に、小惑星ベンヌへのタッチダウンを行ってサンプル採取に挑みます。サンプル採取サイトはベンヌの北半球にある「ナイチンゲール」と呼ばれる場所です。

高度770mの軌道から離脱したオシリス・レックスは4時間かけて降下していきます。タッチダウン22分前に高度約125mでスラスタを噴射して機体の位置と速度を調整し、ベンヌに向かって急角度で降下する軌道に乗せます。その約11分後、高度54mで降下速度を減速し、ベンヌの自転に合わせます。タッチダウンは16秒以内で行われます。

オシリス・レックスは「TAGSAM(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism)」というロボットアームを使ってサンプルを採取します。冒頭の映像には、TAGSAMを展開してからサンプルをカプセルに収納するまでの動作が示されています。

まずはTAGSAMを折りたたんだ状態から展開します。TAGSAMの先端にはサンプラーヘッドが付いています。TAGSAMヘッドがベンヌの表面に接触すると窒素ガスが地表に噴射されます。窒素の噴射によって巻き上げられた塵や小石がTAGSAMヘッドに取り込まれます。その後オシリス・レックスはスラスターを噴射してベンヌから離れます。

サンプルを採取できたかどうかの確認も行われます。カメラでTAGSAMヘッドを撮影してベンヌの表面物質が含まれているかどうかを確認するほか、映像にもあるようにTAGSAMを伸ばした状態で機体を回転させて質量を測定します。サンプル採取前の空の状態で回転したときと比較することでサンプルの量が十分かどうかを確認するのです。オシリス・レックスは60g以上のサンプルを採取することを目指しています。なおオシリス・レックスには3回分の窒素ガスが搭載されており、サンプル採取は3回行うことができます。

サンプル採取に成功したことが分かると、TAGSAMヘッドは地球帰還用のカプセルに収納されます。サンプルは2023年9月に地球に帰還する予定です。

こちらはサンプル採取イベントの予定表。オシリス・レックスのプレスキットPDFをJPEGに変換したものです。オリジナルのPDFファイルをご覧になりたい方は、ミッションのこちらのページで「TAG Operations Timeline」をクリックしてください。

なおアストロピクスでは、オシリス・レックスのサンプル採取を再現した360度動画を紹介済みです。興味がある方はご覧ください。

映像Credit: NASA Goddard

(参照)OSIRIS-REx Mission(1)(2)