先日、直径2kmほどの小惑星1998 OR2が、月までの距離の16倍のところを通過したことが話題になりました。その陰に隠れるように、1998 OR2の最接近の15時間ほど前、実は4〜8mほどの小さな小惑星2020 HS7が、4月28日18時49分40秒(協定世界時、日本時間29日3時49分40秒)に地球のすぐそばを通過していました。
この小惑星は4月27日夜、ハワイにあるNASAのPan-STARRS望遠鏡によって発見が報告されました。発見自体はその前日で、1時間足らずの観測から、その小惑星がすでにかなり地球に近づいており、10%ほどの確率で地球に衝突する可能性があることが判明しました。ただし数m程度の小惑星であれば、地球に衝突したとしても大気中で燃え尽きてしまいます。
その後の観測から、2020 HS7が地球に衝突する可能性はないことが分かったものの、地球の中心から約4万2745kmという、ほぼ静止軌道の距離のところを通過していきました。1998 OR2が最接近したときの距離630万kmと比べると、2020 HS7は桁違いに近いところを通過していったのです。2020 HS7の最接近時の距離は、記録が残る小惑星の中で、最も接近した50個のうちに入るほど近いものでした。
冒頭のアニメーションは、Pan-STARRSが発見を報告してから数時間後に、ドイツのタウテンブルク天文台で観測された2020 HS7です。
Image Credit: ESA / Tautenburg Observatory, S. Melnikov, C. Hoegner, B. Stecklum
https://www.esa.int/Safety_Security/Asteroid_grazes_path_of_satellites_in_geostationary_ring