NASA(アメリカ航空宇宙局)は2022年12月21日、火星に着陸し地震(火震)や気象などの観測を行ってきた火星着陸機インサイト(InSight)のミッションを終了したと発表しました。
冒頭の画像は、インサイトが撮影したもので、火星表面に設置された地震計のカバーや、地震計と探査機をつなぐケーブルなどが映っています。画像は2022年12月11日(1436火星日)に撮影されたもので、この画像以降、インサイトから新たな画像は送られてきていません。
インサイトの太陽電池パネルには塵が降り積り、電力は数か月前から低下していました。12月15日には通信できたものの、12月18日には地球からの通信に応答しませんでした。通信失敗の原因が着陸機にある場合、火星を周回する探査機との通信を2回連続して失敗した場合にはミッションの終了を宣言することになっていました。ただし今後も一定期間、インサイトからの通信を待つことになっています。
2018年5月5日に打ち上げられたインサイトは同年11月26日、火星のエリシウム平原に着陸しました。それから約4年間にわたり、火星の内部構造や気象、地震に関するデータを取得してきました。その間、合計1319件の火震が検出されました。
こちらの画像は、冒頭の画像の1分ほど前に別のカメラで撮影したものです。インサイトのスコップを使って軽く掘った跡が見えています。
こちらの画像は、インサイトが2022年4月24日(1211火星日)に撮影した最後の自撮り画像です。太陽電池パネルを含め、探査機の表面に多くの塵が積もっているのが分かります。参考記事:火星着陸機インサイト、塵まみれの最新かつ最後の自撮り画像
冒頭の画像は、NASAのウェブページで12月21日の「今日の1枚(Image of the Day)」としても紹介されました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech