NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星探査機ボイジャー2号は、1989年8月25日に太陽系最果ての惑星である海王星へ最接近しました(当時は冥王星が「最果ての惑星」とされていましたが……)。この画像は、最接近の少し前、8月16日から17日にかけて、ボイジャー2号の狭角カメラで海王星を連続的に撮影した画像の中の1ショットです。そのときの撮影では、海王星の2回転半分の画像が得られました。
「大暗斑」と「小暗斑」
画像には、「大暗斑」と呼ばれる暗い楕円模様が左側に映っています。大暗斑は海王星の南緯22度にあり、18.3時間で海王星を1周していました。大暗斑の下や右にある白い雲は、4時間ほどの短い周期でその外観を変化させていました。
海王星の右下側、昼夜境界付近には小さな楕円模様が見られます。これは「小暗斑」と呼ばれています。小暗斑は南緯54度にあり、16.1時間で海王星を1周していました。
1977年8月に打ち上げられたボイジャー2号は、木星、土星の観測を終えた後、天王星を経て海王星に到達しました。今のところ、天王星と海王星を間近から観測したのはボイジャー2号だけです。
その後ボイジャー2号は、2018年12月10日に太陽圏を抜けて恒星間空間へと入りました。現在は太陽から200億km(134天文単位)以上離れたところを航行しています。なおボイジャー2号は2023年7月末に通信が一時途絶しましたが、8月上旬に通信が回復しました。
Image Credit: NASA/JPL