ハッブル宇宙望遠鏡が10年間にとらえた木星、土星、天王星、海王星

ハッブル宇宙望遠鏡は2014年以来、「OPAL(Outer Planet Atmospheres Legacy)」という観測プログラムで木星、土星、天王星、海王星の4つの外惑星を定期的に観測してきました。画像は、10年間のさまざまな時期に撮影された4惑星の画像を合成したものです。

スポンサーリンク

木星と土星

画像下側には木星が映っています。木星は赤道に平行な縞模様が特徴的です。白っぽく明るいところは「ゾーン(帯)」、赤みを帯びた暗いところは「ベルト(縞)」と呼ばれますが、ゾーンやベルトの雲のようすや色などが大きく変化しているのがわかります。OPALでの観測により、南半球にある巨大な渦「大赤斑」が縮小していることや、大赤斑の回転周期が速くなっていることなどがわかりました。

木星の上には土星が並んでいます。OPALでの土星観測は、カッシーニ探査機のミッション終了後の2018年にスタートしました。画像には、それ以降の1年ごとの土星が並んでおり、リングの傾きがしだいに小さくなってきていることがわかります。土星は約29.5年で公転しますが、約15年に1度、土星のリングが地球に対して真横を向くため、ほとんど見えなくなります。

スポンサーリンク

天王星と海王星

画像左上に並んでいるのは天王星です。天王星は横倒しの状態で自転しています。そのため84年かけて太陽を1周する間、南北の片方の半球の一部は最大42年間にわたり全く太陽光が当たらなくなります。天王星は現在、北半球の夏に向かっており、しだいに白い北極冠が正面から見えるようになってきているのがわかります。2028年には北半球の夏至になります。

右上に並ぶ海王星の画像では、雲が現れたり消えたりするようすが映っています。OPALによる10年にわたる観測の間、海王星の表面には暗い渦模様も現れたり消えたりしていました。ハッブル望遠鏡の観測から、海王星の雲の量の変化が、11年周期の太陽活動と関連があることが明らかになりました。

Image Credit: NASA, ESA, A. Simon (NASA-GSFC), M. H. Wong (UC Berkeley), J. DePasquale (STScI)

(参照)HubblesiteESA/Hubble