衛星ダイモスは火星の衝突現象によって形成か UAEの火星探査機による観測

UAEのエミレース・マーズ・ミッション(EMM)のHOPE探査機がとらえたダイモス(手前)と火星。Image Credit: Emirates Mars Mission
UAEのエミレーツ・マーズ・ミッション(EMM)のHOPE探査機がとらえたダイモス(手前)と火星。Image Credit: Emirates Mars Mission

火星にはフォボスとダイモス(デイモス)という2つの小さな衛星があります。これらの衛星の起源については、火星の重力で小惑星が捕獲されたとする説と、火星表面での衝突現象の破片から形成されたとする説があります。アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機HOPEは、NASA(アメリカ航空宇宙局)のバイキング2号以来、ダイモスに最も接近。観測の結果、衝突説を支持するデータが得られました。

HOPEが紫外線分光計EMUSで測定したダイモスのスペクトルは平坦で特徴がなく、炭素や有機物の痕跡は見られませんでした。これはダイモスが、捕獲説で火星が捕獲したと想定されるD型小惑星とは異なることを示唆しています。一方、赤外線分光計EMIRSで得た熱赤外線のデータは、衛星が火星の組成と一致する暗い火山岩からなるという解釈を支持するものでした。

また、HOPEは可視光と紫外線の波長で観測するカメラEXIでダイモスの撮影を行いました。ダイモスは地球の月と同じように、つねに同じ面を火星に向けています。HOPEは、火星から見てダイモスの裏側をとらえ、予想外に滑らかであることを明らかにしました。

(参照)LASP/CU-Boulder(コロラド大学ボルダー校大気宇宙物理研究所)