探査車が史上初めて火星のダストデビル(塵旋風)の音を捉えた | アストロピクス

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探査車が史上初めて火星のダストデビル(塵旋風)の音を捉えた

この映像の音は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車パーサヴィアランスが、火星表面で発生したダストデビル(塵旋風)の音をとらえたものです。塵旋風の音は、パーサヴィアランスのスーパーカムという装置のマイクを使って録音されました。

塵旋風は地球でも発生する気象現象です。晴れた日に太陽光によって地面が温まり上昇気流が発生することで生じます。火星ではパーサヴィアランスに限らず多くの探査車が火星表面で塵旋風を観測してきました。また火星を周回するオービターによって宇宙からも観測されています。

今回、パーサヴィアランスが塵旋風の音を録音したのは2021年9月27日(215火星日)でした。その日、塵旋風はパーサビアランスの真上を通過していきました。

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塵旋風は幅25m、高さ118mと推定

パーサヴィアランスのマイクが塵旋風を記録すると同時に、風や気圧、温度、塵などを測定する気象センサーと、左ナビゲーションカメラも起動しました。音と画像、大気のデータを組み合わせることで、今回の塵旋風は幅25m、高さ118mで、時速19kmで移動したと推定されました。

映像の最上段は、ナビゲーションカメラで撮影された生画像(raw image)、2段目は前の画像から変化した部分(差分)を検出するソフトウェアで処理して、記録中に動きが発生した場所を示しています。色は塵の密度を示しており、青の低密度から紫、黄色と密度が高くなっていきます。

3段目は気象センサーでとらえた気圧の変化です。塵旋風の通過中に急激に気圧が低下していることがわかります。

4段目はマイクがとらえた音の振幅を示しています。

こちらの画像は、最上段の生画像のうちの1枚です(Image Credit: NASA/JPL-Caltech)。

Credit: NASA/JPL-Caltech/LANL/CNES/CNRS/INTA-CSIC/Space Science Institute/ISAE-Supaero

(参照)Mars Exploration Program