ルーシー探査機が地球最接近後に撮影した月面の詳細画像 | アストロピクス

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ルーシー探査機が地球最接近後に撮影した月面の詳細画像

木星のトロヤ群小惑星の観測を目指すNASA(アメリカ航空宇宙局)のルーシー探査機は、2022年10月16日に地球でフライバイを行いました。先日は、ルーシー探査機が接近中に撮影した地球と月の画像を紹介しましたが、今回紹介するのは地球への最接近の後、遠ざかる際に撮影した月の画像です。いずれも探査機が地球と月の間にいるときに撮影されたもので、地球からも観測できる馴染みのある場所が映し出されています。

先日紹介した画像は「T2CAM(terminal tracking cameras)」という、小惑星を追跡することなどが目的のカメラで撮影されたものでしたが、今回紹介する画像は、メインのカメラの1つである「L'LORRI(Lucy LOng Range Reconnaissance Imager)」で撮影されたものです。

こちらは最接近から約6.5時間後に撮影された月面のようすです。撮影時、ルーシー探査機は月から約26万kmの距離にいました。画像に映っている場所は、地球から見ると月の中央やや下付近にあたります。画像中央右側にヒッパルコス・クレーターやアルバテグニウス・クレーター、中央左側にはプトレマイオス・クレーター、アルフォンスス・クレーター、アルザケル・クレーターが縦に並んで見えています。

こちらは地球への最接近後7.5〜8時間の間に撮影された画像をモザイク合成したものです。画像を撮影したとき、ルーシー探査機は月から平均で23万km離れていました。下弦の月の昼夜境界に沿って広い範囲が映し出されています。画像中央付近に1枚目の画像の領域も映っています。画像上の方に「雨の海」、中央左に「雲の海」が見えています。画像左端にはコペルニクス・クレーターが明るく目立っています。

こちらは地球への最接近の約8時間後に撮影された画像です。撮影時、ルーシー探査機は月から約23万km離れたところにいました。画像には「雨の海」が大きく映っています。プラトンやカッシーニ、アルキメデス、エラストテネスなどのクレーターが見えています。

(参考記事)月面(表側)の主なクレーターの位置と名前

木星の公転軌道上には、木星の進行方向とその逆側それぞれ60度離れた「ラグランジュ点」とよばれる場所に「トロヤ群小惑星」と呼ばれる小惑星群が存在しています。ルーシーは、そのトロヤ群小惑星を間近から観測する初めての探査機です。木星軌道に向かうため、ルーシー探査機は合計3回、地球でフライバイを行い、地球の重力を利用して加速します。今回は最初のフライバイでした。(参考記事)木星のトロヤ群小惑星を目指す探査機ルーシー

ルーシー探査機が今回撮影した月の画像は、NASAの月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターなど他の探査機が撮影した画像と比較することで、ルーシーの観測機器の性能を検証することになります。

Image Credit: NASA/Goddard/SwRI/JHU-APL/Tod R. Lauer (NOIRLab)

(参照)NASA