この画像に映っているのは、大マゼラン銀河にある超新星残骸「かじき座30B(NGC 2060)」です。この超新星残骸は、800万〜1000万年にわたり星が形成され続けてきた領域にあります。その領域には暗いガス雲、若い星、加熱したガスなどが絡み合っています。
画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)のチャンドラX線望遠鏡によるX線データ(紫)、南米チリ、セロ・トロロ汎米天文台にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡の光学データ(オレンジ、シアン)、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線データ(赤)を組み合わせたものです。ハッブル宇宙望遠鏡の白黒画像も付け加えられています。
2度の超新星爆発が発生したか?
国立台湾大学のWei-An Chen氏らの研究チームは、チャンドラ望遠鏡の観測データからこの領域を分析し、直径130光年ほどのX線のかすかな殻構造を発見しました。
かじき座30Bの中心にみられるパルサーや明るいX線はどちらも、約5000年前の超新星爆発によって生じたとみられています。しかし、より大きくてかすかなX線の殻構造は、同一の超新星爆発から生じたものとしては大きすぎるとのこと。研究チームは、かじき座30Bで少なくとも2回の超新星爆発が発生したとみています。
Image Credit: X-ray: NASA/CXC/Penn State Univ./L. Townsley et al.; Optical: NASA/STScI/HST; Infrared: NASA/JPL/CalTech/SST; Image Processing: NASA/CXC/SAO/J. Schmidt, N. Wolk, K. Arcand