この画像は、火星の北半球、アラビア大陸の北の平原にあるクレーターを、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターがとらえたものです。クレーターの底の下半分が、不思議な形状と分布をもつ奇妙な堆積物に覆われています。
このクレーターの周辺も含め、このような堆積物は直径600m以上のクレーターのみで見られ、450m以下のクレーターにはありません。また堆積物があるのは南側だけで北側にはありません。堆積物には層状あるいは階段状のような構造も見られます。小さな明るい尾根で形成された放射状の筋もあります。
マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ(アリゾナ大学)では、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2022年10月23日に撮影されたもので、2022年12月14日のHiPODとして紹介されました。
HiRISEのウェブページによると、これらの特徴は、氷に富んだ物質の昇華によって形成されたと見られるとのことです。階段状になっているのは、異なる時期に昇華したことを示しているかもしれません。
Image Credit: NASA/JPL/UArizona
(参照)HiRISE