ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団M14 | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団M14

この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団M14です。M14は、へびつかい座の方向、約2万9000光年の距離にあります。見かけの明るさは8.3等、1764年にシャルル・メシエによって発見されました。

球状星団は数万から数百万個の星が、ほぼ球状に集まった星団で、天の川銀河には球状星団が160個ほどあることが知られています。M14には15万個以上の星が存在しています。

M14では、1938年に新星が出現したことがあります。新星は、球状星団では非常にまれな現象で、わずか数日で星の明るさが1万倍にもなり、その後、数か月かけて暗くなっていき通常の明るさに戻ります。M14の新星は、1938年当時は気づかれていませんでしたが、のちに当時の写真を調べている際に発見されました。

スポンサーリンク

新星の発生場所周辺

Image Credit: NASA, ESA, and STScI; Ground Image: Cerro Tololo Inter-American Observatory, Chile
Image Credit: NASA, ESA, and STScI; Ground Image: Cerro Tololo Inter-American Observatory, Chile

こちらはM14で新星が発生した領域を、ハッブル宇宙望遠鏡が1990年に撮影したものです(右)。地上からみると左の画像のようにぼやけて見えますが、ハッブル宇宙望遠鏡の画像ではそれぞれの星が分かれて見えています。

新星と思われる場所は、地上からの画像では1つの天体のように見えていましたが、ハッブル宇宙望遠鏡の画像では5つの天体に分かれて見えました。それら5つのうちの1つが新星のもとになった星ではないかとみられています。ただし新星となった星が暗すぎて映っていない可能性もあります。

冒頭の画像は紫外線、可視光、近赤外線でとらえた画像を合成したものです。2023年3月19日にNASA(アメリカ航空宇宙局)のウェブページで公開されました。

Image Credit: NASA, ESA, and F. D'Antona (INAF, Osservatorio Astronomico di Roma); Image Processing: Gladys Kober

(参照)NASA