火星の「クモの巣」地形に迫る 探査車がとらえた「ボックスワーク」の秘密 | アストロピクス

火星の「クモの巣」地形に迫る 探査車がとらえた「ボックスワーク」の秘密

NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車キュリオシティは、火星のゲール・クレーターの中央にあるシャープ山(正式名はアイオリス山)を登りながら探査を進めています。最近は、この山の斜面で「ボックスワーク(Boxwork)」と呼ばれる地形を約6か月間にわたって調査してきました。

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地球にも存在するが火星の「ボックスワーク」は巨大

この画像はキュリオシティが2025年9月26日(4671火星日)にマストカメラ(Mastcam )で撮影したものです。地面にボックスワーク構造が見えています。

ボックスワークは、高さ1〜2メートルほどの低く盛り上がった線状の岩の構造が網目状に連なっている地形です。軌道上から見るとクモの巣のようにも見えます。この構造は、数十億年前に岩盤の割れ目に地下水が流れ込み、運ばれてきた水中の鉱物が固まったことで形成されました。その後、長い年月をかけて周囲のやわらかい岩が風に削り取られ、硬い鉱物の部分だけが残されたのです。

ボックスワークは地球にも存在します。ただ地球で見られるものは洞窟内や乾燥した砂地で見つかる数cm程度の小さなものが一般的です。火星で見られるような、数kmにもわたって続く巨大な網目模様は地球ではみられません。

この地域のボックスワークに暗い筋があることが、軌道上の探査機によって発見されていました。キュリオシティが地上から詳しく調査した結果、その暗い筋が岩の割れ目であることが確認されました。この割れ目に地下水が入り込んだことが、ボックスワーク形成の出発点になったと考えられています。

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予想外の場所で「ノジュール」を発見

こちらはキュリオシティのロボットアームの先端にあるカメラ(MAHLI)で2025年8月21日(4636火星日)に撮影したものです。「ノジュール」と呼ばれる、えんどう豆ほどの大きさの粒状の構造が多数映っています。このようなノジュールは火星の別の場所でも見つかっており、かつて水が存在したことにより形成されたと考えられています。

ただ不思議なことに、今回ノジュールが見つかったのは水の通り道だった割れ目付近ではなく、盛り上がった線状の構造の側面やその間の砂地に集中していました。これは、まず最初に構造の骨組みが作られ、その後の別の時期に再び地下水が流れてきた際にそれらの粒が形成された可能性を示唆しています。

広大なボックスワーク地形がシャープ山の上方にまで存在していることは、火星の表面から川や湖が干上がった後も、地下水がこれまでの予想よりずっと後の時代まで存在していたことを物語っています。もし、かつて火星に微生物などの生命がいたとしたら、その生命が生き延びられる環境が、これまで考えられていたよりもずっと長く保たれていたのかもしれません。

(参考)「キュリオシティ」関連記事一覧

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS

(参照)NASA