「HAKUTO-R」月着陸船の衝突地点をNASAの月探査機が特定

民間初の月面着陸を目指した日本の宇宙企業ispace社の「HAKUTO-R(ハクトR)」。ミッション1の月着陸船は2022年12月に打ち上げられ、2023年4月26日に月のアトラス・クレーターへの着陸に挑みました。残念ながら着陸には成功せず、月面にハードランディングした可能性が高いと発表されていました。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービター(LRO)のカメラ科学チームは、4月26日に取得した衝突地点付近の画像を、以前に取得していた画像と比較しつつ、着陸船の捜索を行いました。その結果、着陸が予定されていた地点の周辺で、4つの破片などが発見されました。以下の画像は、2023年5月23日にNASAから公開されたものです。

この画像は4月26日、HAKUTO-Rミッション1の着陸船が着陸を試みたのちにLROが撮影したものです。

上の画像の白枠内を、衝突前後の画像で比較したものです。矢印A〜Dの部分で表面に変化が見られます。矢印Aの部分は、左上が明るく右下が暗くなっています。周辺にある岩とは影の向きが反対になっていることから、これが小さなクレーターである可能性もあるとのことです。

こちらは画像処理(除算)を行なった画像です。衝突の衝撃により、直径約60〜80mの反射率の高い領域が生じています。

こちらは衝突地点(×印)周辺をとらえたLROの画像をモザイク合成したもので、より広範囲が映っています。画像上部にはアトラス・クレーターの縁が見えています。

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Arizona State University

(参照)NASALROC