小型月探査機SLIMの着陸場所はどこ? | アストロピクス

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小型月探査機SLIMの着陸場所はどこ?

2024年が明けて早々の1月20日、日本の小型月着陸実証機「SLIM(Smart Lander for Investigating Moon、スリム)」が月面着陸を予定しています。月面着陸にはこれまで、旧ソ連、アメリカ、中国、インドが成功しており、今回SLIMの着陸に成功すれば世界で5か国目ということになります。

さて、1月20日に着陸することはニュースなどで知っている方も多いかと思いますが、どこに着陸するのかは知っていますか?

こちらは月の画像です。月面の暗い領域は「海」と呼ばれます。そんな海の一つである「神酒の海」と呼ばれる場所の近くにSLIMは着陸することになっています。

神酒の海の近くに、「テオフィルス・クレーター」と「キリルス・クレーター」という2つのクレーターが並んでいます。SLIMの着陸目標地点は、キリルス・クレーター内にある「シオリ(Shioli)・クレーター」という小さなクレーター付近です。

こちらの画像の中央に映っているのがシオリ・クレーターです。画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)の月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターがとらえたもの。このクレーターは直径約300mほどの小さなクレーターで、画像にある矢印の先がSLIMの着陸目標地点となります。

シオリ・クレーターの周囲には、クレーターができたときの隕石衝突によって放出された物質が散らばっています。その放出物にはカンラン石が多く含まれていることがわかっています。そのカンラン石は月のマントルに由来するとみられており、SLIMではカンラン石の組成を調べることで、月の形成に迫ろうとしています。

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「シオリ」は日本人にちなんだ名前

なおクレーター名の「シオリ」は、SLIMのチームが国際天文学連合(IAU)に提案して承認されたものです。IAUのルールでは、月の小型クレーターの名称は一般的なファーストネームにすることになっています。SLIMが実証を目指すピンポイント着陸技術は、惑星探査の新時代を切り開くことが期待されており、歴史のターニングポイントに挟まれる「栞」となるよう願いを込めて名付けられました。

ちなみに「シオリ」と同じように、日本人のファーストネームが付けられた月の小型クレーターはあと2つあります。それらのクレーター名は「タイゾウ」と「ヨシ」です。(参考記事)日本人にちなんだ名前の月面のクレーター

Image Credit: NASA/GSFC/Arizona State University

(参照)JAXA宇宙科学研究所(1)(2)