この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた中間渦巻銀河IC 5332です。IC 5332は、ちょうこくしつ座の方向、約3000万光年の距離にあります。銀河のあちらこちらに、赤みを帯びた星形成領域が散在しているのが映っています。
IC 5332は、地球に対して銀河円盤がほぼ正面を向いている「フェイスオン銀河」です。フェイスオン銀河に対して、銀河円盤が地球に対して真横を向いている銀河は「エッジオン銀河」と呼ばれます。
またIC 5332は、「ドゥ・ボークルール分類」という銀河の分類方法では「SABc」型銀河に分類されます。「S」は渦巻銀河であること、「AB」は銀河の中心に弱い棒状構造があることを示しています。「A」は棒状構造のない渦巻銀河、「B」はいわゆる棒渦巻銀河を示しており、「AB」はその中間の「中間渦巻銀河」のことを示しているのです。
末尾の「c」が示すのは、渦状腕の巻きつき具合です。巻きつき具合は「a」から「d」で示され、「a」はきつく、「d」は非常にゆるく巻きついていることを示しています。つまりIC 5332の「SABc」は、中間渦巻銀河で渦状腕の巻きつき具合が比較的ゆるいことをあらわしています。
画像はハッブル望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、ハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2023年10月16日に公開されました。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Chandar, J. Lee and the PHANGS-HST team
(参照)ESA/Hubble