ハッブル撮影の最新惑星画像2021〜木星、土星、天王星、海王星 | アストロピクス

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ハッブル撮影の最新惑星画像2021〜木星、土星、天王星、海王星

ハッブル宇宙望遠鏡は「OPAL(Outer Planets Atmospheres Legacy program)」というプログラムの一環で、木星以遠の巨大惑星の全球観測を毎年行っています。その一環で2021年に撮影された木星、土星、天王星、海王星の最新画像が11月18日に公開されました。いずれの惑星の画像も、2021年9月から10月にかけて撮影されたものです。

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木星

ハッブル宇宙望遠鏡が2021年9月4日に撮影した木星です。赤道付近は過去に比べて、はるかに長期間にわたり濃いオレンジ色の状態が続いています。赤道付近は数年前から従来の白やベージュ色から変化していました。今回は赤みを帯びた靄(もや)の層が失われると予想されていましたが、オレンジ色が濃くなっていることに研究者は驚いたそうです。

赤道のすぐ上側には、「バージ」と呼ばれる楕円形の嵐が新たにいくつか出現していました。これらは低気圧の渦ですが、外観はさまざまで、鮮明なものもあれば、ぼんやりした輪郭のものもあります。このような違いは、渦の雲の内部での物理的な特性によるものです。

画像中央下側、木星の南半球には高気圧の渦である大赤斑がはっきりと見えています。大赤斑は、地球がまるまる1個入ってしまうほどの大きさがあります。大赤斑の下には白っぽい渦が連なっているのが映っています。

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土星

ハッブル宇宙望遠鏡が2021年9月12日に撮影した土星です。初秋を迎えた北半球では、帯の色が急激に変化しています。土星のこの帯は、2019年、2020年の観測を通じて変化してきています。

土星の北極周辺には、1981年にボイジャー2号が発見した六角形の嵐があることが知られています。2020年のハッブル宇宙望遠鏡の観測でははっきりしませんでしたが、2021年の観測では再びはっきりと現れています。

土星の大気は冬の時期になると青みがかった色になります。画像が撮影されたのは南半球では冬から春に向かう時期で、南極付近では青みがかった色が残っています。

なお土星は30年かけて太陽を1周するので、春夏秋冬それぞれの季節は7年半ほど続きます。

画像にはテティス、ミマス、エンケラドス、ディオーネなどの衛星も映っています。

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天王星

こちらはハッブル宇宙望遠鏡が2021年10月25日に撮影した天王星です。北極付近が明るくなっています。撮影されたのは天王星の北半球の春の時期で、太陽光の紫外線の吸収が増加したことで北極域が明るくなっているようです。

明るい部分の南端の境界はくっきりとして同じ緯度にとどまっています。これは過去数年間の観測でも同様でした。おそらくジェット気流のようなものが、北緯43度付近に障壁を作っていると見られています。

海王星

ハッブル宇宙望遠鏡が2021年9月7日に撮影した海王星の画像です。左上側に暗い渦(暗斑)が見えています。この暗斑は、赤道方向に向かっていたものが方向転換して北に向かったことが知られていました。画像下の方には、海王星の南極を取り囲むような暗く細長い円も見えています。

今回撮影された海王星には、明るい雲がほとんどありません。全体が青いなかで暗斑が1つある状況は、1989年にボイジャー2号が観測した当時の海王星とよく似ています。

Image Credit: NASA, ESA, A. Simon (Goddard Space Flight Center), and M.H. Wong (University of California, Berkeley) and the OPAL team

(参照)HubblesiteESA/Hubble