さまよえる孤立したブラックホールをハッブル望遠鏡で初めて発見!

天の川銀河をさまよう単独のブラックホールの想像図。ブラックホールの重力により背景の星からの光が歪んでみえています。Image Credit: FECYT, IAC
天の川銀河をさまよう単独のブラックホールの想像図。ブラックホールの重力により背景の星からの光が歪んでみえています。Image Credit: FECYT, IAC

天の川銀河には、連星系ではない単独のブラックホールが1億個ほど星間空間をさまよっているとみられています。ただこれまで、そのような孤立したブラックホールが特定されたことはありませんでした。今回、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データから、約5000光年の距離にある孤立したブラックホールが初めて発見されました。統計的には地球から80光年以内にも、このようなさまよえるブラックホールが存在している可能性があるとのことです。

連星系のブラックホールの場合、伴星から引き寄せたガスがブラックホールの周囲に降着円盤を形成します。ガスが落ちこんでいく際に高温になり放射するX線を観測することで、連星系のブラックホールを見つけることができます。また伴星との合体時に放出される重力波からブラックホールの存在がわかるケースもあります。

単独のブラックホールは、太陽の20倍の質量の巨大な星が、一生の最期に超新星爆発を起こし、残った中心核が重力でつぶれて形成されます。超新星爆発は完全には対称的ではないため、爆発の勢いでブラックホールが元々いた場所から放り出されて天の川銀河内を高速でさまようこともあります。

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重力マイクロレンズを利用して単独のブラックホールを発見

ハッブル宇宙望遠鏡が天の川銀河の中心方向をとらえた画像です。枠内は重力マイクロレンズにより星が明るくなった現象をとらえたもの。手前にブラックホールがあるときに明るくなり、通り過ぎた後で通常の明るさに戻りました。Credit: SCIENCE: NASA, ESA, Kailash Sahu (STScI)、IMAGE PROCESSING: Joseph DePasquale (STScI)
ハッブル宇宙望遠鏡が天の川銀河の中心方向をとらえた画像です。枠内は重力マイクロレンズにより星が明るくなった現象をとらえたもの。手前にブラックホールがあるときに明るくなり、通り過ぎた後で通常の明るさに戻りました。Credit: SCIENCE: NASA, ESA, Kailash Sahu (STScI)、IMAGE PROCESSING: Joseph DePasquale (STScI)

ブラックホール自体は電磁波を発しないため、連星系でない単独のブラックホールを発見するのは困難です。ただブラックホールは周囲の空間を歪めるので、より遠方の星と視線上で一直線上に並ぶと、遠方の星からの光が曲がりレンズを通したときのように光が増幅され明るくなります。このような現象は「重力マイクロレンズ」と呼ばれます。

ブラックホールによる重力マイクロレンズには他の天体とは異なる特徴があります。ブラックホールによるレンズ現象は200日以上継続します。また前景の天体が恒星の場合、前景と背景の星の光が混ざり合い測定される光の色が一時的に変化しますが、ブラックホールの場合は色の変化は見られません。

今回、重力マイクロレンズ観測により、ブラックホールの質量や距離、速度に関する情報も得られました。ただし同じデータが元になっていますが、推定された質量や距離は2つの研究チームにより異なっています。

STScI(宇宙望遠鏡科学研究所)のチームは、ブラックホールが約5153光年の距離にあり、太陽の約7倍の質量をもち秒速45kmで移動していると推定しています。一方、カリフォルニア大学バークレー校などのチームは、太陽質量の1.6倍から4.4倍と推定しており、中性子星である可能性も示唆しています。星の残骸がブラックホールになるには、質量が太陽の2.2倍以上である必要があります。速度は秒速30km、距離は2280〜6260光年と推定しています。

(参照)HubblesiteBerkeley News