この画像には、渦巻銀河「ESO 137-001」が映っています。画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の可視光画像の上に、チャンドラX線望遠鏡のX線画像(青)と、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)が水素原子からの光(Hα、赤)でとらえた画像が重ねられています。
ESO 137-001は、みなみのさんかく座の方向、約2億1300万光年の距離にあり、銀河団の中を時速240万kmほどで移動しています。移動する際、銀河団ガスによる圧力を受けて銀河内のガスがはぎ取られ、後方に「尾」が作られました。このような現象は「動圧(ラム圧)によるガスのはぎ取り」と呼ばれます。尾はX線やHα線ではっきりと見えています。X線で見えているのは高温ガスです。
2023年9月13日、NASA(アメリカ航空宇宙局)のサイトなどで、チャンドラX線望遠鏡と他の望遠鏡の画像を組み合わせた画像が5点、公開されました。冒頭の画像は、そのうちの1枚です。
なおESO 137-001の「尾」について、アストロピクスでは以前、アルマ望遠鏡などでとらえた画像を紹介したことがあります。→まるでクラゲ? アルマ望遠鏡やVLTがとらえた銀河の「尾」
Image Credit: X-ray: NASA/CXC/Univ. of Alabama, Huntsville/M. Sun et al.; H-&alpha: ESO/MUSE; Optical/IR: NASA/STScI/HST