大マゼラン銀河の球状星団NGC 1850 ハッブル望遠鏡が撮影 | アストロピクス

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大マゼラン銀河の球状星団NGC 1850 ハッブル望遠鏡が撮影

これらの画像は一見すると別の天体に見えますが、実は同じ天体をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたものです。映っているのは大マゼラン銀河にある球状星団NGC 1850。使われているフィルタと割り当てられている色の違いによって、2枚の画像に映っている天体が別物のように見えているのです。

1枚目の画像は、可視光と近赤外線のフィルタで撮影されました。可視光を青、近赤外線を赤に割り当てて合成しています。一方、2枚目の画像には5つのフィルタが使われています。2つは近紫外線、2つは可視光、もう1つは近赤外線です。近紫外線を紫と青、可視光を緑とオレンジ、近赤外線を赤に割り当てて合成したものです。

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天の川銀河にない若い球状星団

NGC 1850は約1億歳の球状星団で、かじき座の方向、約16万光年の距離にあります。質量は太陽の約6万3000倍です。典型的な球状星団と同様、重力によって星々が球状に密集しています。ただ多くの球状星団とは異なりNGC 1850の星々は比較的若く、このような若い星をもつ球状星団は天の川銀河には存在しません。

NGC 1850で最初の世代の星が誕生したとき、それらの星たちはガスや塵などの物質を周囲の宇宙に放出したと考えられています。形成された星団の密度が非常に高かったため、放出された物質は星団の重力から逃れることができず近くに留まりました。星団の重力はまた、周囲から水素やヘリウムのガスも引き寄せました。これらのガスが第2世代の星を形成し、この球状星団の密度と大きさを増大させました。

2021年にはNGC 1850でブラックホールが検出されました。また約200個の赤色巨星が存在しています(2番目の画像全体に見られます)。最初の画像では青、2番目の画像では赤く見える、星団を取り巻くベール状の構造は、超新星爆発によって生じたとみられるガスや塵です。

画像は2022年12月9日にNASA(アメリカ航空宇宙局)のウェブページで紹介されました。

Image Credit: (1枚目)Credits: NASA, ESA and N. Bastian (Donostia International Physics Center); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)、(2枚目)Credits: NASA, ESA and P. Goudfrooij (Space Telescope Science Institute); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)

(参照)NASA