ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「針の穴銀河」の一部 | アストロピクス

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ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「針の穴銀河」の一部

この画像は、矮小渦巻銀河NGC 247(Caldwell 62)の一部をハッブル宇宙望遠鏡がとらえたものです。銀河の全体像を見ると、星があまりなく穴のように見える領域があることから、NGC 247は別名「針の穴銀河」とも呼ばれています。ちょうこくしつ座銀河群に属する銀河で、地球から約1100万光年の距離にあります。ちょうこくしつ座銀河群は、天の川銀河が属する局所銀河群に最も近い銀河群です。

画像に映っているのはNGC 247の端の部分です。赤色の部分は高密度なガスと塵の領域で、激しい星形成が進んでいます。画面左下側には、NGC 247よりも遠方にある銀河や、逆に地球とNGC 247の間にある前景の星も映っています。

銀河の「穴」の部分では、新たな星を形成する材料となるガスが不足しています。星形成がないため、古くて暗い星だけがそこには存在しています。「穴」の成因については、過去に別の銀河との重力相互作用があったことを示唆する研究はありますが、はっきりしたことは分かっていません。

NGC 247には「超大光度X線源(超高輝度X線源)」と呼ばれる天体も見つかっています。この天体については、恒星質量ブラックホールなのか、あるいは中間質量ブラックホール(恒星質量ブラックホールより数十倍大きいが銀河中心にある超巨大ブラックホールより小さい)なのか、議論が続いています。ハッブル宇宙望遠鏡の可視光・赤外線や、チャンドラX線望遠鏡のX線など複数の波長の光での研究から、X線が中間質量ブラックホールのまわりにある円盤から放射されている兆候が見つかっています。

画像は2022年5月22日にNASA(アメリカ航空宇宙局)から公開されました。

Image credit: NASA, ESA, and H. Feng (Tsinghua University); Image processing: G. Kober (NASA Goddard/Catholic University of America)

(参照)NASA