日欧共同の水星探査機ベピコロンボが、2021年10月2日(日本時間、以下同じ)に水星でのフライバイ(スイングバイ)を行った際に撮影した水星の画像です。画像には、水星の赤道付近と北半球(この画像では水星の左下側)の一部が映っています。
ベピコロンボは2日午前8時34分に水星へ再接近しました。再接近時に探査機は水星表面から198kmまで近づきました。画像が撮影されたのはその約10分後の午前8時44分12秒で、撮影時、探査機は水星から約2418km離れたところに位置していました。
ベピコロンボは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「みお(MMO)」とESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO)、電気推進モジュール(MTM)などが結合した形で水星へ向かっています。画像はMTMに設置されているモニタリングカメラで撮影されたものです。
画像に映っているクレーターのうち、比較的はっきり見えていて名称が付けられているものについてクレーター名を示しました。ポリュグノトスが赤道上、ポエティウス、カルーソー、タークル、カルヴィーノ、ルーダキーなどのクレーターは南半球の低緯度地域にあります。
直径67kmのカルヴィーノ・クレーター周辺には、周囲よりも滑らかで明るい円形の領域があります。また直径166kmのレールモントフ・クレーターは、揮発性元素が宇宙空間に放出されていると見られる「Hollows(窪地)」と呼ばれる水星特有の地形があるために明るく見えています。参考記事:水星にある謎の窪地「Hollows」
ちなみに水星のクレーターには、世界各地の芸術家の名前に由来する名称が付けられており、日本人の作家や音楽家などに由来する名称のクレーターもあります。
ベピコロンボはこれまで、地球で1回、金星で2回(2020年10月15日、2021年8月10日)のフライバイを行ってきました。水星では6回のフライバイが予定されており、今回がその1回目のフライバイでした。合計9回のフライバイの後、ベピコロンボは2025年12月に水星へ到着する予定です。
※2021年10月2日夜、クレーター関連の記述を追記しました。また一部の記述を変更しました。
Image Credit: ESA/BepiColombo/MTM, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA