火星の赤道付近で予想外の水の霜が発見された

火星の赤道付近には、タルシス地域と呼ばれる広大な台地があります。そこには、太陽系で最大の火山オリンポス山や、タルシス三山と呼ばれる三つの巨大火山(アスクレウス山、パボニス山、アルシア山)などが存在しています。それら巨大火山の山頂付近で、水の霜の存在が明らかになりました。

地球では標高が高くなるほど気温が下がります。しかし火星は気圧が低く、平地と山頂とで気温差があまりありません。そのため標高の高いところでも、赤道付近では霜は存在できないと考えられていました。

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霜が出現するのは早朝だけ

熱帯地域での水の霜は、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のエクソマーズ・トレース・ガス・オービター(TGO)とマーズ・エクスプレスのデータから発見されました。

この画像は、オリンポス山をマーズ・エクスプレスが現地の早朝にとらえたものです。山頂付近に霜が白く見えています。

霜は日の出前後の数時間だけ出現し、日が高くなると蒸発してしまいます。霜の層は100分の1mm程度と非常に薄いものの、範囲が広いため霜の量は約15万トンの水(オリンピックプール60個分)に相当するとのことです。

タルシス地域にある火山は非常に巨大です。最大のオリンポス山の高さは地球のエベレストの3倍ほどで、裾野の直径は600kmにも及びます。巨大火山の頂上にはカルデラがあり、そのカルデラ内での独特な微気候が原因で霜が形成されるとみられています。

Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin

(参照)ESA