この画像は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、かみのけ座にある広大な銀河団SDSS J1226+2152をとらえたもので、銀河団の重力レンズ効果によってより遠方にある銀河の像がゆがんでいるのが映っています。中央に見える銀河の近くには、ビッグバンから約20億年後の時代の銀河がゆがんで見えています。
銀河団など巨大な質量をもつ天体が時空をゆがめることで、より遠方の銀河からやってくる光が曲がります。重力がレンズのようなはたらきをすることから、このような現象は「重力レンズ」と呼ばれます。
光学的なレンズと同じように、重力レンズは遠方にある銀河の像を拡大したりゆがめたりします。それを利用して、通常であれば遠すぎてはっきりとみることができない銀河の詳細を観察することが可能になります。
画像には小さな点のように見える天体も映っていますが、それらはいずれも星ではなく銀河です。淡く白い銀河の多くは、宇宙誕生20億〜30億年後の星形成が激しかった「コズミックヌーン(cosmic noon)」と呼ばれる時期のものです。一方、いくつかの小さなオレンジや赤色に見えている天体は、おそらくさらに古い時代のものとみられます。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2023年12月19日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Rigby and the JWST TEMPLATES team
(参照)ESA/Webb