ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた銀河団Abell 2764周辺

2023年7月に打ち上げられたユークリッド宇宙望遠鏡。そのユークリッド望遠鏡の早期リリース観測の一環で撮影された画像が公開されました。上の画像は公開された5点のうちの1点で、画像の右上に銀河団Abell 2764が映っています。銀河団Abell 2764は、ほうおう座の方向、約10億光年の距離にあります。

画像にはAbell 2764以外にも、遠方にある銀河や銀河団、相互作用銀河など、さまざまな天体が映し出されています。Abell 2764とその周辺を詳細にとらえたこの画像は、ユークリッド望遠鏡の広視野という特長を生かして得られたものです。

放射状に伸びる光のすじを伴った明るい星は、天の川銀河の中にある前景の星です。光のすじは「回折スパイク」と呼ばれるもので、望遠鏡の構造に由来しています。画像下側にある最も明るくみえる星は、肉眼で見えるほどの明るさを持っています。

こちらは冒頭の画像の右上部分のクローズアップです。

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6年間で全天の3分の1の領域を観測する

ユークリッド望遠鏡は、太陽・地球系の第2ラグランジュ点(L2)を周回する軌道から観測を行っています。L2は、地球からみて太陽の反対側、約150万km離れたところにあります。全天の3分の1の領域について、100億光年先までの銀河の形状や位置、距離などを測定し、宇宙の3Dマップを作成することが目的です。それにより、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)やダークマターの解明などを目指しています。

(参考記事)ユークリッド宇宙望遠鏡 銀河の精密な3Dマップを作り宇宙の「暗黒」の解明を目指す

2024年5月23日に公開された今回の5点の画像は、同日公開されたミッションの最初の科学データおよび、今後発表される10件の科学論文に伴うものです。データはわずか24時間の観測から得られたもので、可視光で1100万以上、赤外線でさらに500万以上の天体が明らかにされています。ユークリッド望遠鏡のメインミッションは6年間が予定されており、今後の成果が大いに期待されます。

(参考記事)
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた星形成領域M78
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた銀河団Abell 2390
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河NGC 6744
ユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた「かじき座銀河群」

Image Credit: ESA/Euclid/Euclid Consortium/NASA, image processing by J.-C. Cuillandre (CEA Paris-Saclay), G. Anselmi

(参照)ESA(1)(2)